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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

5月に読んだ本

2015年5月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1912ページ
ナイス数:11ナイス

 


女がいる (エクス・リブリス)女がいる (エクス・リブリス)感想
うーん。いかにもポストモダンの悪いところが出ている、としか…。
読了日:5月23日 著者:エステルハージペーテル
あなたが救える命: 世界の貧困を終わらせるために今すぐできることあなたが救える命: 世界の貧困を終わらせるために今すぐできること感想
基本的に、功利主義者であるシンガーが、いかにも"らしい"観点から、寄付の重要性や、寄付するという行為が決して間違ってはいないことを丁寧に解説していく一冊。彼が上手いのは、読み手が彼の主張を読んでいるうち「え、その考えはどうなんだろう?」と思える部分が出てきても、その後に必ず「どうなんだろう?」と思った部分にまで行き届くような(まさに痒いところに手が届くような)掘り下げを用意しているところだ。一見、危うい主張に見えるこれがよく読み進めると、なかなか崩せない屈強な主張であることに気がつく、という。
読了日:5月17日 著者:ピーターシンガー
経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策感想
世界には「Lose not a hog for a halfpenny worth of tar.(半ペンス分のタールを惜しんで羊を死なすな)」なんて言葉があるが、よく言ったものだと思う。まさに、本書が言いたいのもそういうことなのだ。不況であるかどうかよりも、国がなにを政策として選択するかどうか「有事に半ペンス分を惜しむか/惜しまないか」が、重要な分かれ道。個人的には社会主義の国が、資本主義に変わっていく際の"取った選択肢による差"の話が、極めて興味深かった。
読了日:5月17日 著者:デヴィッドスタックラー,サンジェイバス
石の幻影―短編集石の幻影―短編集感想
全体的にアイロニカルな短篇集となっている。絶対に良い話や教訓じみた話にはせず、むしろ、”それっぽい話”であるかのように見せかけておいて、最後にそれを覆すような描写を持ってきて、読者に単純な教訓を与えず考えさせてしまうという天邪鬼さが、なんともカッコイイ。挙句の果てに、最後は「今まで僕が発表した話は、僕が書いた話じゃないです」なんて言い出してしまうのだから、天邪鬼極まれりである。…短編と言いつつも、表題作は完全に長編だったりするが。
読了日:5月14日 著者:ディーノブッツァーティ
絵のない絵本 (岩波文庫)絵のない絵本 (岩波文庫)感想
これがまさか、千一夜物語的な入れ子になっているとはまったく知らなかったので、読んでいて驚きを覚える。第二十一夜の、途中で話が途切れてしまう話が妙に自分の好み。
読了日:5月14日 著者:アンデルセン
殺意の迷宮 (1983年)殺意の迷宮 (1983年)感想
特に言うことはない。
読了日:5月9日 著者:グレゴリー・マクドナルド
兎の夏 (1972年)兎の夏 (1972年)感想
「比喩や描写がしつこすぎる」という欠点があったりするうえに、今の時代となっては、日本女性との恋物語は「日本に対して都合の良い幻想を抱きすぎ」なところがどうしても見えてしまって微妙だったりもするが、それでも、六人の作家が集められ、その作家たちの話を、ひたすら聞いていた主人公が、途中から、物語の中心へとぐんと躍り出てくる展開、素晴らしいものがある。そして、なんだかんだいっても(しつこいとは言え)やはり文体は上手い。
読了日:5月8日 著者:アドルフ・ムシュク
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)感想
面白い。最後にメタ的に作者自身が出てきてしまう短編集って、普通はあんまり良いものには思えないことが多いのだけど、この作者の場合は、文体というか距離感の保ち方が上手いので、普通にアリと思える。基本的には、全編通して台湾の街を中心に起きるマジックリアリズムものなのだけど、ただ、中には、村上春樹的なものとか、もっとホラー寄りのものもあったりとか、意外と各短編、同じ場所の話でありながら明確に内容が色分けされているのも「おぉ、この人、実力あるな」と感じさせるところ。
読了日:5月7日 著者:呉明益

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