ニーアオートマタが面白かったという話
最近になって、日本製のオープンワールドゲームがバンバン出まくっているわけだが、おそらく今、オープンワールドで話題となっているのは「ニーアオートマタ」と「ゼルダの伝説 ブレスオブワイルド」の二作だろう。
FF15もそれなりには話題になったが……後発の二作に話題をかき消されてしまった感はデカイ。というか、どう考えてもこの二作の出来と評判が良すぎて、完全にそれに負けた感がある。
なにせ、metacriticでさえ、最近発売されたゲームでは、この二作だけが90点超えている異常事態(ニーアに至っては、ユーザースコアも9.1という……)。「Horizon Zero Dawn」とかの海外のオープンワールドゲームたちを抑えての状況なのだから、「FF15の話題が消えるのも仕方なしだろう」という話だ。
で、自分は今のところ「ニーアオートマタ」の方をプレイしているのだが、いやーびっくりするほど面白いんだが、これ。
ヨコオタロウが、これほどまでに面白いゲームを作ってしまうとは、おそらく数年前の僕には想像できなかったことだろう。特にEエンドルートの、あの演出は本当に「このゲームを、ここまでやった人にしか分からない感動」が確かに存在していたように思う。
ある種、こんな「世界の善意を信じるようなシステム」をヨコオタロウが作ったことにも驚きだ。この人、東京タワーにアンヘルを落とした人だったはずじゃ……。
また、今作をやると「DOD3はあれはあれで、アリだったかもしれない」となぜか、DOD3のこともちょっと評価が上がってしまうから不思議だ。色々、残念な部分があったDOD3だったが、ニーアオートマタみたいなことがやりたくて失敗してたんだなぁと思うと、そんなに悪くない気がしてしまうのだ。
ある意味において「ニーアオートマタ」はニーア最新作でありながら、実はDOD最新作でもあり、一番最初のDODのテーマ――「抗え、最後まで」をもう一度振り返ったような内容でもあるのだ。
なぜ、ヨコオはプレイヤーに必死で抗わせようとするのか――その回答を示しているともいえる。
もちろん、それは単なる旧来ファンへのファンサービスなんてものに留まっていない回答なのだが。むしろ、どんな人にでも当てはまる回答を示しているのだ。
それに何よりも、ニーアオートマタは、前作以上にキャラクターが良い。正直に言うが、今作のキャラクター、僕は敵も味方も全員好きである。ニーアやDODシリーズにしては、珍しく、実は出てくるキャラクターがみんな「根は良いやつ」のだ。
基本的に全員クズしか居ない、DODシリーズなどから想像もつかないような善人ばかり。
いずれも、なにか一つ歯車が狂っておかしくなっているだけ。前作のニーアも、こういった要素は入っていたが、今作はよりそれが徹底している気がする。なにせ、真の黒幕でさえ悪いやつとは言い切れないのだから。*1
しかし、だからこそ、もどかしい。どんどん狂っていく物語に居てもたっても居られなくなる。
いや、本当によく出来ている。
あと、個人的には、前作から継続して出てきているデボルポポルにも、すごくグッと来てたりする。
……9S、そこを代わってくれ。
たぶん、この二人にずっと看病されるVRゲームが出たら、そこそこ売れると思う。
で、最後になるが、「これを予め、知っているとニーアオートマタの物語への理解が早くなるよ」という作品をピックアップしてみた。
- 作者: マーチン・ファン・クレフェルト,石津朋之
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2011/09/20
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 323回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
ヨコオタロウが、ここまでハッキリ他の作品を引用しているのって初めてのような気がするなぁ……。
*1:というか、真の黒幕である、アレ……どうやら、いろいろな作中の資料を読むかぎり、あれは明らかに前作の……いや、この話は別の記事でしよう