2015-02-06 掌編:名言 小説 これはよく出来ている(――出来てはいない)と画廊(――ここは暗喩である)の絵(――同左)を見て呟く彼(――存在していない、大勢の一人を指した三人称)は、大げさに絵を褒め称える。素晴らしき名言が、飛び交う。大河を渡るような心地を持っている、一つのあるシーンを描いている、饒舌な彼は比喩が上手いのだ(――という、比喩。実際の彼は「とても良いと思いました」としか言えない人形で、そもそも文章など読んでいない)。