ポケモン新作に宿る魔性の魅力
最近、ポケモンの新作が発売された。
なんと、昔の「ポケットモンスター ピカチュウバージョン」のリメイクであるという本作。
様々なポケモンを連れ歩きできるシステムやら、野生ポケモンたちがシンボルエンカウントシステムになっていたり等々……まさに「初代ポケモン直撃世代の僕らが、あのとき本当にやりたかったポケモン」を体現しているような、内容でものすごく興味を惹かれていた。
で、当然のごとく、モンスターボールPlusもついているDL版を予約。
日付が変わり発売日になると同時に、プレイを開始し、じっくりと内容をプレイしているのだが……。
どうしよう。このゲーム、魔性すぎる……。
なにが魔性って、上記のパッケージに描かれた「ピカチュウ」と「イーブイ」である。この二匹、実は作中に出てくる他の「イーブイ」や「ピカチュウ」とは明確に線引きされた存在だ。
相棒ポケモン、と呼ばれるポケモンでありーーたとえるなら、アニメポケモンでサトシが連れていたピカチュウのような、特別な存在として位置づけられているポケモンなのだ。
どれくらい、特別かと言うと、この二匹だけはプレイヤーとじゃれあうシステムが入っていたり、物語の要所要所で様々な表情を見せたり、そもそも、延々とモンスターボールに入ってないまま、主人公の側にべったりだったりと、とにかく、プレイヤーと親密になれるシステムがこれでもかと詰め込まれている。
この相棒ポケモンがヤバ過ぎるのだ。
試しにツイッターでこのワードを使って検索してみると良い。「うちのイーブイが一番かわいい」あるいは「うちのピカチュウが一番かわいい」だ。
そこに広がるのは、相棒ポケモンの魅力にやられ、完全な親バカになってしまったプレイヤーたちが見れるはずだ。もちろん、みんな持っているゲームは同じゲームであり、持っているソフトごとに実は「イーブイ/ピカチュウ」の姿が違う、なんてこともない。
なんなら、容姿だけなら、同じゲーム内の他の「イーブイ/ピカチュウ」とも見分けがつかないのだ。
それでも、思わずプレイヤーに「自分のイーブイ/ピカチュウが一番かわいい」と言わせてしまう魅力が、この相棒ポケモンには備わっているのだ。
かく言う自分も、この魅力に取り憑かれていて、「うちのイーブイが世界で一番かわいい」とマジで思っている。
嘘ではない。かなりマジである。
ツイッターで思わず「こいつ(自分のイーブイ)と一生、いろんな地方を旅できたら良いのに」と本気で呟いたくらいには、マジである。それくらいに、なんというか、この相棒ポケモンは抗いようもなく、人間を骨抜きにさせてしまう作用があるのだ。
自分は、本気で「この相棒ポケモンシステム、ペットセラピーの代わりになるのではないか」と思っている。そのレベルのクオリティだからだ。
特に、何がクオリティ高いって、ラブプラスなどの、その手の恋愛ゲームですら「好感度をフルマックスにしたら、だんだんと(高感度が高いだけの)似たような反応しか返ってこなくなる」のに、対し、本作の相棒ポケモンは「好感度がフルマックスになっても、反応が多種多様」なのだ。
なんなら、現実のペットが、どんなに飼い主のことを好きでも、その日の気分で、あんまり無反応だったりすることがあるように、相棒ポケモンもまた無反応だったりすることすらある。
そして、同時に現実のペットが、急に訳も分からず、べたべた飼い主に甘えてくるときがあるように、相棒ポケモンもまた急に飼い主に甘えてきたりするのだ。日によっては、物凄い勢いで飛びついてきて、頬ずりしてくることすらある。
そこが、もうかわいくて、仕方がないのだ。
しかも、そんな絶妙なさじ加減で、甘えてくる相棒ポケモンに「よしよし」とゲーム内で実際に撫でることもできてしまうため、ますますかわいく思えてしまう。
更に、先述したように、相棒ポケモンは物語の進行に合わせて、百面相を見せる。場合によっては不安な表情や悲しい表情を見せることもあり、そんな表情を見てしまったら「この子は自分が守らないと」とますます親バカに磨きがかかるのは必至だ。
そして、相棒ポケモンと一緒に旅をし、様々な人達とのバトルを繰り広げるおかげで、相乗効果で親バカ度が上がっていく。なぜなら、(相棒ポケモンに限った話ではないが)プレイヤーを悲しませまいと攻撃を耐えきる姿を、バトルのどこかで絶対に見ることになるからだ。そういうイベントがあるわけでもないが、本作、結構レベル上げが難しく、苦戦を強いられる戦いも多いからだ。
いや、そもそも、そんな姿を見なかったとしても「一緒にゲーム内をクリアしていく」という、その一点だけでも、十二分に親バカ度は加速する。
今作のポケモンのストーリーは、初代のリメイクであることもあって、えらくシンプルな出来となっている。本当にただ旅するだけの内容と言っていい物語だ。
しかし、シンプルであるために、プレイヤーに物語を押し付けない内容だからこそ、相棒ポケモンと繰り広げた冒険が、そこで得た数々の思い出が、唯一無二のものであるような気がしてくるのだ。
これだけの要素が揃ってしまえば、本当に魅力に抗うのは不可能で、この新作ポケモンをプレイすればするほど、どんどんと相棒ポケモンの可愛い魅力に取り憑かれていき、気づくと心の何処かで「自分のイーブイ/ピカチュウが世界で一番かわいい」と思っている親バカプレイヤーが誕生するのである。
この魔性である。
このゲーム、本当に魔性すぎる……。