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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

マストドンはツイッターの後継……じゃないっていうか、なっちゃいけない

 マストドンについて話そうと思う。

 だいたい、世の中にバズったから細かい説明はどうでもいいよね?基礎的な部分は他でググって。

 で、マストドン。イマイチ、みんな表層的な部分しかこのSNSを理解してないように思う。特にツイッターの後釜的な感じで、ニュースに取り上げられたことから言っても、それは間違いないだろう。マストドンは、単なるツイッターの後釜SNSではないからだ。

 

 そもそも、マストドンツイッターは根本的に仕組みが違うし、仕組みが違うせいで、性質も仕様も全てが違う。

 マストドンは「分散型ネットワーク」のSNSだからだ。分散型ネットワークとは、なんぞや。と言う前に、ツイッターフェイスブックなどの運営について、語ったほうが話が早い。

 ツイッターフェイスブックは当たり前だが、運用としては一社が管理しているものだ。だから、大量の日本人がバルスなんてつぶやくと、世界中のツイッターバルスしちゃうわけだ。ツイッターには大元となるサーバが存在していて、それがイッてしまえば、ツイッター自体が落ちる。そして、みんなツイッターに登録し、ツイッターに個人情報を入力する。これが今までの基本的なSNSの仕組みだった。

 

 ここまで言えば、なんとなく分かると思うが、そう、マストドンはそこが違うのである。

 マストドンは「マストドン」という枠組みだけが同一になっているだけで、サーバーは複数の団体や人がバッラバラに管理し、バッラバラに運用し、バッラバラに情報を持っている状態のSNSだ。その、バッラバラ同士のサーバーが連結されて、バッラバラの人たちに分散する仕組みになっている。

 だから、一個のサーバーでバルスされても、他のサーバーは無事だったりするわけだ。

 そう、だから分散型ネットワーク、というわけ。

 イメージとしては、P2Pなどに近い。一時期は悪名の高さを誇ったtorrentやWinnyなどは、個人のPC同士で情報を交換させあわせて、一つの情報を限りなく、無料であっちこっちに分散させていく仕組みだった。(だからこそ、芸術諸作品の分散に利用された)

 あれは、個人間のPCだったが、今回はそれが誰か一人が管理する「サーバー」になっている、というわけ。

 言ってしまえば、一つのサーバーが一つの共同体であり、共同体同士の連結によって全世界に網を広げている、という状態。当然、共同体ごとにルールを設定してもいいし、なんなら、自分だけしかいない共同体を作っても良い。そういう枠組みのSNSなのだ。

 

 

 で、だ。

 問題は、この分散型ネットワークの厄介さについて、なのだ。

 ここまで説明されて気づいた人もいると思う。そう。この分散型ネットワーク…仕組み上、投稿された情報は断りもなく、勝手に、投稿した本人のあずかり知らぬところまで、分散されてしまう仕組みなのだ。

 前述で自分はP2Pを例に挙げた。これは、わざとである。

 少し、このSNSの仕組みの本質について気づいてもらいたかったからだ。

 このマストドンにおいて、一度投稿した情報は「絶対に」「未来永劫」消えなくなるかもしれない、という覚悟を、頭の隅のどこかに持っておいてほしいのだ。投稿した絵や、映像は、拡散され、下手すれば「自分が作ったという情報だけが欠けて」、誰が作ったのか分からない状況になって延々と著作権侵害で拡散され続けるかもしれない。

 そういう覚悟を持っていてほしいのだ。

 ある意味、旧来のネットの姿に戻ったSNSとも言える代物だ。つい10年ほど前にあったネットの「危険さ」を孕んだSNSなのだ。

 ツイッターもそうじゃないか、と思うかもしれないが、いや、根本的に違う。ツイッターは前述のように一つの会社が運用しているから、その気になれば、ツイートのパクリやら画像の著作権侵害やらはいくらでも規制できる。

 マストドンはそうではないのだ。サーバー単位で(あるいはサーバー同士のやり取りで)どうするかって話になるから、規制をかけても足並みをそろえない限りは規制になっていないのだ。抜け目を悪用しようと思えば、いくらでも出来てしまう。(現時点でも、いくつか悪用の方法が見つかっており、どうするべきか議論中である)

 

 例えば、最悪、このネットワークでは誰もが君になりすますことができるし、しかも、君がなりすましていない君だと証明することは、このネットワーク上では不可能だ。他のネットワークなり、なんなりから、証明するしかないのである。

 だから、このSNSツイッターの後釜じゃないし、なってはいけない。そうなったら、リチャード・マシスンが書くホラーと大差ないものが生まれる。

 

 ただ、そこに気をつけていれば、マストドンは便利なSNSだ。ツイッターフェイスブックでは絶対自分のもとに入ってこない、自分と違う世界の情報が入ってくるSNSだからだ。

 おそらく、今後、世界に重大な出来事が起こったときに、それは一際分かりやすくなるだろう。ツイッターの比ではないほどに、様々な情報が拡散されるはずだ。