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BLOG・BLOG

東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

長く語ります。

雑記

 今日、ツイッターのTLでこんな記事を見かけた。

realsound.jp

 この記事。ツイートした人曰く、D♯という調性表記に違和感を感じた、とのことだそうだ。普通はE♭なのではないか、というのがその人の主張らしい。確かに、基本的な音楽の教科書には、普通はE♭で表記されている。だから、D♯はおかしいというのだ。

 うーん。

 いや、これ実はとてもむずかしい問題なのである。それなりに音楽を学んでいる僕だから言えるが、D♯という表記でもおかしいことはない。というか、ケースによってはD♯という調性とE♭という調性では、まったく話が違うこともあるのだ。

 なぜ、そんなことが言えるのかというと簡単で、よく、巷の認識では「D♯はE♭と同じ音」という認識がまかり通っているが、これ、厳密には間違いなのである。D♯とE♭は違う音だ。

 

 少し話が逸れるが、音楽を学んでいると中級者くらいの頃から、ダブルシャープ、ダブルフラット、という問題にぶち当たるようになるが常だと思う。半音を2つ上げる、半音を2つ下げる、という表記の不可解さに引っかかるのである。

 半音2つ変えるのって、それは、一音上げるのと同じじゃないかということだ。あるいはミ♯という表記などに引っかかるのだ。それは、ファじゃないのか、と。

 そして、なぜ、そんなダブルシャープなんて(ちなみに余談だが、音楽上ではトリプルシャープなどの表記も、普通にありえたりする)表記があるのか、という理由を聞いたときに、音楽習得者は学ぶのだ。半音を二回上げるのと、全音上げるのは、実は音が違うということに。

 まあ、ヴァイオリン等をやっている人からすれば「そんなクソ当たり前のこと、知ってて当然だろ!」ってな、具合だったりするんだが、鍵盤とかギターとか音階の律が予め固定されている人たちからすると、この事実は超気づきにくいことだったりするのである。

 で、こういう問題に引っかかってしまう人がたまに現れる。

 

 まず、確実に認識して欲しいのだが、基本的な音階である、十二音階は「人間が便宜的に作った、ものすごくちゃらんぽらんなルール」なのだ。実は十二音階で、半音半音ずつ上がるとき、正確に等間隔で音が上がっている――ということは、どうやっても絶対にありえない。

 冷静に考えてほしい。よく440ヘルツは基準の音でA=ラだという、トリビアというか、キャバクラ的な場所で使える小話があると思う。で、その倍の音(880ヘルツ)が一オクターブ上の音のA=ラだという話も聞いたことある人が多いのではないだろうか。

 いわゆる、十二音階とは、この「一オクターブの間」を十二個の半音で区切ったもののことをいう。十二の半音で区切るから十二音階。

 この時点で、少し頭が働く人は言ってることがおかしいことに気づくと思う。

 880-440=440。

 440(=11の倍数)を十二等分するって…。

 そう。もちろん、どうやっても、できるわけがない。

 それを、無理くりに区切って成立させているのが、十二音階なのだ。どうやって成立させるかって……決まってるだろう。それぞれの音を正確に等間隔で分けなかったり、一オクターブ上の音を正確な一オクターブ上からは少しズレた音に変えたり……と、いろいろぐちゃぐちゃにして、成立させているのだ。

 (ちなみに、純正律でも平均律でもぐちゃぐちゃなのは、一緒。ただ、ぐちゃぐちゃにさせる箇所が違う)

 

 ここまで書けば、E♭≠D♯ということになる、理由が分かると思う。”同じ数値分”上げた音、下げた音、それぞれ一緒になるはずがないのだ。だって、そもそも、レとミの音の間がきっちり半音2つ分、開いていないのだもの。ズレてるのだもの。

 だから、D♯とルートにしたスケールと、E♭をルートにしたスケールも当然、実は正確には、それぞれ音が違う。もちろん、素人が聞いても分からないレベルの差だが――といいつつも、実はこの微妙な違い、素人もちゃんと聞き取ってはいたりするのである。

 「なんか、明るめに聞こえる。暗めに聞こえる」という「なんか、こんな感じがする」という気分的な認識として、微妙な違いを聞き取っていたりするのだ。なので、ポップスでも、D♯という表記は大事である。というか、和音を気にするポップスやジャズこそ、こういう表記は大事である。

 むしろ、和音を気にしない、なおかつ、楽譜表記にこだわるクラシック系のほうがE♭という表記で固定させようとすることが多いかもしれない。だが、それはあくまでクラシック畑の話。

 クラシックは、成立した時代的にそこをあんまり気にしない時代の音楽だったとも言える。和音も、全然高度ではないものを使っている(現代的なのは、当然、例外として)。だから、その表記を気にする必要性がない。

 だが、いわゆる巷の大衆音楽は、往々にしてジャズ等の影響を受けて、調性や和音がかなり高度化しているので、これを気にしないと、たまに大変なことになるのである。このD♯という調性表記もその結果によって、生み出されたものなのだ。

 

 たっぷり語ってしまったが、そういうことなのだ。

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