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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

デジモン:Triでも触れられない、もう一人の八神太一

リバイバルブームにのって、デジモンがTriとして劇場何部作だかで復活しているわけだが……。

 

 実は、個人的にこのデジモンシリーズ復活で密かに期待していることがあった。

 それは、あんまり知られていない、「デジタルワールドに存在する、もう一人の八神太一」の存在である。「彼のその後も、ちゃっかり描かれたりしたら面白いのになぁ……」と期待していたのだが――うーん。そもそも、このデジモンリバイバルシリーズ、始まった時から、そこそこ”きな臭い”ものがあり、そのせいもあってか、やっぱり触れられることはない。

 

 だが、確かに、実はデジタルワールドにはもう一人、八神太一が存在しているのである。それが、Vジャンプで連載された、Vテイマー01の八神太一だ。

  本家のアドベンチャーが始まる数ヶ月前から、メディアミックスで連載が始まっていた本作だが、この作品の主人公・八神太一は、アドベンチャーの八神太一とは、別の並行世界に存在する八神太一である。

 どれくらい、パラレルな存在かというと、まず、パートナーデジモンが、アグモンではなく、ブイドラモンをパートナーとしていたりする。ブイドラモン。もちろん、02に出てくるブイモンの進化系だ。繰り返すが、本作はアドベンチャーが始まる数カ月前から連載が始まったものだ。

 そして、どういうわけだか、本家の八神太一よりも圧倒的に頭がいい。繰り返すが、やたら頭がいいのだ。基本的な性格は似ているのだが、本家と比べて、圧倒的に冷静で後先を考える人物像になっている。

 

 で、ここから個人的な話になるが、正直、アドベンチャーも好きだが、Vテイマーはそれ以上に好きなのだ。端的な話、面白いのである。Vテイマーは、デジモンとの絆を描くところは共通しているが、それ以上に、戦闘シーンに工夫が見られる内容となっている。

 特に序中盤は、八神太一とブイドラモンは、成熟期でありながら、完全体のデジモンと真っ向勝負する場面が多く、その力量差を覆すために、八神が様々な作戦を考えるのである。その多彩な戦術が、読んでいて普通に感心してしまう。どれも少年漫画らしい理屈だが、なかなか良く出来ている。

 それなりに筋の通った、理屈のある戦術を駆使するのだ。このパラレルの八神太一が、本家よりも頭がよく見えるところも、ここの理屈のある戦術の使いこなし方に起因するところが大きいだろう。

 また、絆による力というものにも、理屈を与えているところが本作の魅力の一つだ。本家では、人間とデジモンの絆は、それだけで”なんとなーく超然的に力を与えてしまうもの”として描かれていたが、Vテイマー01では「絆があるからこそ、ブイドラモンはこういう行動ができて、だから、相手に勝てたのだ」と、絆が力を生み出す”理屈”もちゃんと考えてあったりするのだ。

 だから、本家以上に、そういう絆が生み出す力とかの説得力もあったりする。

 そういう面も含めてよく出来ているなと。

 

 メディアミックスが流行った当時、このようにアニメと連動した漫画はいくつかあり、そしてその風潮を批判するような向きがあったが、実は、このように「下手をすれば、本家以上に、よく出来ているメディアミックス作品」というのが、ちょいちょい存在していたりする。

 もちろん、本作デジモンは、本家のアドベンチャーも相当面白いので、”どっちが面白いか”の議論は水掛け論にしかならないが、実は、本家のアニメは明らかなクソなのに、メディアミックスは傑作並に面白い!!というものも存在していたり――いや、この話は、本題と関係ないのでここではよそう…。

 

 

 ともかく、久しぶりに読み返したが、うーん、やはりVテイマー01、面白い!