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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

模写しまくっているうちに分かったこと。

相変わらず、模写メインで、経験がたまったらオリジナル絵を書いて、出来に反省して模写してというサイクルの日々なのだが、そんな自分が模写をしながら気がついた、顔を描くコツをこれから挙げていきたいと思う。

 

1.口と目と鼻は、積極的に記号で描いた方がいい。

 よくネットの書き込みを見ると「目が一番なのだから、目を丁寧に描け」「なんといっても目が――」「口の形が――」的なパーツの細部を重要視した書き込みを見かけるが、あの書き込みをしている人の大半は、自分が絵の何に惹かれているのかよく分かってない人たちだと断言できる。

 実際に絵を描くようになり、気がついたのは、目なんて超どうでもいいということだ。簡単な記号でまったく問題がない。顔全体のバランスから見た大きさと、そして、立体感がだいたいあっていれば、わりと他はどうでもいい。

 口も同じだ。実際の人間の写真等を参考にして、口を描こうとすると、全体的にかなりリアル志向な絵にしないと、ものすごい変な感じに見える。リアル志向でない限りは、記号の口の方が合っている。

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例えば、ちょっと前にこのブログに上げたこの絵。「口がすっごいリアルに描けてるなー」と感心されるかもしれない。が、実は元の写真、口はこんな形ではない。これは元の写真がアヒル口っぽい形をしていたので、アニメ的な「記号のアヒル口」に置き換えて描いているのだ。ただし、記号にした代わり、立体感をきっちり顔に合わせた。

 それで、上手くいっている。

 画風に合わせた「記号的な口」「記号的な目」「記号的な鼻」のパターンをいくつも用意しておいて、 描きたいものに合わせて「悲しい時を示している記号の目」「ニュートラルなときを示す記号の目」等々、適宜それぞれの記号を顔に埋めていく。これが一番、顔を上手く描く方法である。

 

2.顎はいっぱい嘘をつくこと。

 これも、ようは言いたいことは上の項目と同じだ。

 想像以上に人間の顎は、みんな広い。細く見えるのは立体感のおかげであることが多い。だから、それを素直に参考にして二次元的な絵に変換すると、「あれ、想像以上に意外と顎が広めだな」という絵が出来がってしまう。二次元のほうが全体的に三次元と比べると立体感が(当たり前だけど)薄めになりがちだ。余程リアルな絵柄で描かないかぎり、素直な広さで顎を描くと、あら不思議、いつでも挑戦を待っている猪木気味な状態になってしまうのだ。

 なので、これも、元の写真をちらっと反映しつつ大胆に嘘をつきまくった方がいい。特に僕は女性を描くときは必ず顎を狭くしている。平坦な顎先を鋭角気味にして、顎の位置をちょい上気味にする。そっちの方が不思議と女性っぽく見えるからだ。

 

3.頭蓋骨の形と耳の位置は(元の写真では分からないとしても)ちゃんと認識しろ。

 頭蓋骨はともかく、なんで耳?と思うかもしれないが、そう思った人は人体の頭の構造を理解していない。耳は、顎の終わりにあるべきものであり、なおかつ、前頭部/後頭部の境目、目の高さや眉の位置等。顔の様々なパーツがあるべき位置を探るための基準になるからだ。

 頭蓋骨は逆に(顔が斜めに向いているとき等に)耳を描いてない側の顔の位置を正確に理解する基準になる。模写するときは、この二つから各パーツの位置がどこにあるのかを見て描くといい。

 だいたい、顔のバランスがおかしいと思った時は、耳の位置と頭蓋骨の形がおかしいことが多い。(極稀に目がでかすぎるだけのこともあるが)ここを描き直して、全パーツをそれに基づいて動かしていくと、最適な位置に自然と収まってくれる。

 

4.絵が上手くなるコツは一つしかない。絵を描くことと、描き直すことだ。 

 これは模写に限らない話だけど、絵を急激に上達させたい場合のコツは、簡単だ。たくさん絵を描くことと、それと、ひたすら描き直すことである。模写している時にも、描いた線を「やっぱりなんか違うな―」と思って描き直し、また描いては「なんか違う」と思って、また微妙に線を変えて、くどいほどに描き直しを延々と繰り返すことだ。

 それが絵が上手くなる唯一のコツだ。これは、実は考えてみたら当たり前の話である。模写にしてもなんにしても「一枚の絵に"描いては消し"を繰り返して100回以上、線を引きまくって描く人」と、「間違った線を描いても放置して、一枚の絵にたった10回しか線を引かない人」どっちのほうが先に、上手く線が引けるようになるかという話なのだ。

 前者に決まっている。だから、線がおかしいと思ったら描き直すこと。「どうやったら正しくなるか」なんて一々理屈をこねている暇があったら、とりあえず、描き直す。そのうち、ぴったりだという線が見つかる。これをやったほうが上達が早いのだ。

 

 

 以上。