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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

掌編:対話4

「頭の悪いことを言いたい。私は頭が良すぎると思うのよ」
「お、その言葉でもう十分じゃないかな」
「なんだ、それ。なんだと、それ」
「頭の悪さは保証できたよ。さすが、頭良いね」
「頭良いと言われるのは嬉しいけれど、同時に頭が悪いと言われるのはムカつくわ」
「で、僕は君のことを頭悪いって言ったのかな。頭良いって言ったのかな。どっちか、そっちなら分かるよね。頭が良いんだったら」
「分かるわけ無いでしょう」
「じゃあ、頭が悪いんだな。頭が良いのに、頭が悪いなんて大変だね」
「ねぇ、おちょくってる?」
「おちょくってないよ。おちょくるにしては、僕はずいぶん君を頭が良いと褒めているじゃん。おちょくりたいなら、もっと僕が『頭が悪いなぁ』って、思ってることがハッキリと伝わるもんだよ。で、君には伝わった? 伝わってない?」
「伝わってない」
「伝わってないよね。というわけで、おちょくってないわけだ。まったく、そんなことも分からないなんて、頭が良いくせに悪いんだね」
「やっぱり、おちょくってる」
「ないない」