飛べ!イサミ、20周年!
今日の記事はそこそこ真面目に書く。
20年前の今日、飛べ!イサミが初放映となった日だ。飛べ!イサミ。その名前はもう殆どの人が知らないことだろうと思う。佐藤竜雄監督の初期作品であり、NHKでやっていた子供向けアニメがこれである。基本的にスカートを穿かないスパッツの短髪少女が主人公であり、なおかつ、正義のヒーロー「新撰組」のリーダーも兼ねていたりと、当時のアニメとしても結構珍しい試みがなされていた作品である。
しかも、意外にも玄人のSF筋の方からも高い評価を貰っていたりして、かなり侮れない作品でもあった。主題歌はTOKIOの「ハートを磨くっきゃない」。この主題歌を聞いて、ようやく「あぁ、これか!」と思い出す人も多数いることだろう。
僕は映画感想ブログにも書いているとおり、佐藤竜雄監督の大ファンだ。そんな大ファンからの贔屓目で、飛べ!イサミを紹介してみたい。
飛べ!イサミの面白さはいろいろあるけれども、やっぱり、なんといっても、主人公たち「新撰組」を始めとした、個性的なキャラクターたちにあるだろう。ボーイッシュなイサミ、サッカー少年のトシ、キザな少年のソウシ。彼らのクラスの担任で正体がくノ一というはるか先生、はるか先生に一目惚れしてしまう警官でイサミの親戚である数馬、クラスメイトたち。敵である黒天狗党も含めて、飛べ!イサミには、強烈なキャラクターが多数存在している。
子供向けアニメは総じて、個性的なキャラクターが多く存在しているものだけど、飛べ!イサミに出てくるキャラクターのぶっ飛びの度合いは、ちょっと他よりも図抜けている。
正直、一部のライトノベルなんかにも、露骨に「飛べ!イサミ」に影響を受けたキャラクターが登場していたりする。この「飛べ!イサミ」によって、こういうキャラクターを作中でたくさん登場させることが、スタンダード化してしまったのである。
疑うならば、考えて欲しい。例えば、涼宮ハルヒなんてどうだろうか。とっても有名なライトノベルのシリーズであるが、よぉく「ハルヒ、キョン、小泉」という関係を見つめなおしてみよう。すると「イサミ、トシ、ソウシ」の関係にそっくりであることに気がつくはずだ。
「やたら気が強く行動的な女子|それに反発しながら振り回される男子|そんな二人をくっつけてしまおうと横で画策するキザ男」という構図は、ほとんど一緒である。実はキャラクターデザインも心なしか……。
ちなみに、ハルヒシリーズの中に「キョンの妹」が出かけようとするキョンの鞄の中に入っているというギャグがあるが、そっくり同じギャグが飛べ!イサミにも存在している。トシがやたら重い鞄を開けると中に、トシの弟であるケイがなぜか入っているのである。
これで両作品に関係性がないと思う人はいないだろう。
ハルヒシリーズは「今までのスタンダード」を崩すことでウケたシリーズだが、そのスタンダードの一つは「飛べ!イサミ」なのだ。
もちろん、当然、影響はハルヒだけではない。特に、影響が分かりやすいライトノベル作家は、阿智太郎である。彼の初期作品には「飛べ!イサミ」っぽいキャラクターがよく出てくるのだ。
デビュー作である「僕の血を吸わないで」と繋がりを持った続編である「僕にお月様を見せないで」は、阿智太郎の中でも、一等に分かりやすく「飛べ!イサミ」的なキャラクターが登場する。ゴミ等を綺麗にしないと気がすまない不良少女。トロい太っちょと安くて細い悪ぶってる男二人組……etc
これで分かったと思うけど、それくらい「飛べ!イサミ」はすごいのだ。