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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

掌編:身の回り

 黄色い目薬をさす。赤い蜘蛛の背中に染み入って、蜘蛛はだんだんと身を細くした。徹夜明けの体に、朝は辛い。体のバランスがだいぶ狂っていた。椅子に座っていただけだというのに――いや、座っていただけだからこそ、節々がこわばってしまっていた。ほぐれるまで、関節を動かす。だが、完全にほぐれた感じはしない。そのうち、足の付根が折れる。こわばりすぎたせいか、あっさりと体から外れてしまった。眼鏡を手にとって掛ける。外れた足は床に転がっていた。小さいネジが外れた足元に落ちていた。眼鏡を支えているネジだった。気がついた途端に、眼鏡が落ちていく。乗用車のホイールがそれを潰して行ってしまった。