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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

好きなアニメは学園戦記ムリョウ

なのである。


学園戦記ムリョウ:オフィシャルサイト

「なのである」始まりとはなんぞと思うかもしれないけれど、ともかくとして、まあ、大好きなのである。学園戦記ムリョウが。中学生の頃から見て以来、自分の人生観と世界観と世間観が変わるほどの影響を受けてしまってからというもの、ずっとこの作品のファンである。

 学園戦記ムリョウは素晴らしい。どこが素晴らしいかというのを事細かく挙げるといろんな要素が挙がってしまうのだが、分かりやすく言って「日常系とSFの融合」の先駆である。日常系とSFを混ぜるという手法は最近でもちょいちょいと目立つモノになってきてはいるが、断言できるが、それの先駆はこれである。

 ただし、ただの先駆というわけでもないのだが。このアニメは、実のところ「日常系×SF」というところだけが魅力の作品ではない。実は日常の裏には政治的な話が混ざっていたり、日常の過去には酷い戦争があったり、日常の中にも複雑な人間模様があったり、そして、全てを見渡すヒーロー脱構築的な存在がいたり、2001年宇宙の旅っぽいところもあったり――とてもいくつもの文脈が多層的に織り交ぜられている。だから、人によっては山田太一のドラマを連想する人もいるし、恩田陸眉村卓的なジュブナイルを連想する人もいるし、円谷プロ作品への強烈な返答を感じる人もいるし、エヴァを重ねる人もいる。細かいところを挙げれば、もっといろんなものを連想することだろう。

 つまり、それだけ、いろんな作品に重ねられるようなほど、多面的で多義的に作られている、とんでもない作品なのだ。

 そんな作品なわけで、こういうブログの一つの記事程度で紹介するのは不可能である。

 だが、まあ、不可能と言い切ってしまうが、一部を紹介することなら出来る。つーことで、今回は、この好きなアニメ「学園戦記ムリョウ」の魅力、その一を語りたいと思う。

 その一は、まず、主人公である。

 この作品の主人公――僕は自分が無知であることを承知のうえで、正直に話すが僕は、今の今までいろんな作品を鑑賞してきたが、この作品の主人公のような人物が、主人公になっている作品を、この作品以外で見たことがない。それほどの空前絶後の主人公が、村田始である。

 村田始という主人公を説明するのは極めて難しい。なにせ、主人公としては他にあまりにも類型が存在していないからだ。村田始とは、一言で言えば「普通」である。作中でも、「普通でない普通」などと形容されているのだが、とにかく、村田始はなんというか、普通なんだけど妙に捉えどころがなく、かといって、飄々としているかというとそうでもない感じで、これといった特徴も存在せず、メガネを掛けている中学男子なのだ。そんな主人公なら、いくらでもいる、とこれまでの説明を読んで思ったあなたは、とても大きな勘違いをしている。ごく平均的な作品であれば、こういった主人公は、作品のどこかで劇的な成長や、激的な力を得ることである種のカタルシスを生み出すわけだが、村田始は最初から最後まで普通なままなのである。

 とにかく、村田始は普通だ。なにがあっても普通。何が何でも普通。超能力が目覚める特殊な儀式を受けたのに、超能力が目覚めない!じゃあかといって、周りに追い付くために特別な努力をして特殊能力を得るとか、そういうことも一切しない!じゃあ、怠けているやつかというと、そうでもなく、自分の力でやれることはキチンとやる!ごくごく当たり前の行動を、当たり前の範囲でしかやらない主人公なのだ。

 普通の作品なら、そんな主人公は、主人公としては成立しない。だが、学園戦記ムリョウでは、なぜかそれが成立してしまうのだ。この、あまりにも普通すぎるがゆえに、むしろ、どの主人公の類型からも外れているという、主人公の特殊さ

 これもまた学園戦記ムリョウの魅力である。

 

 今回はここらへんで、続きは気が向いたら書く。じゃ!