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東杜来のブログです。月に1,2回の更新。

小説

カクヨムで、また書いてる

kakuyomu.jp 久々投稿した。 さすがに、こんなに人に読まれていないのは嫌なので、こっちでも更新したらお知らせするようにするわー。今回は、結構、個人的には面白い話になると感じているんだけれども……。

自分のカクヨムの宣伝

カクヨムの小説、相変わらずスローペースだが、書き進んでいるので一応、このブログで宣伝しようと思う。とはいえ、ただ、べたっとタイトルだけ貼ってしまうのは、つまらない。なので、今回は自分の小説に、いつの間にか付いていた三ツ星レビューを貼ろうと…

カクヨムで小説、実は連載してました。

カドカワとはてなが作った小説サイト「カクヨム」だが、滅多にこういう新しいものに手を出さない(出してもすぐに手を引いてしまう)僕が、なぜか、2月初めからずっと小説を書いていた。 kakuyomu.jp タイトルは、少年魔法少女。 もうすでに星が7つほどつ…

電子書籍を出しました。

これです。 『STARSLAVE(仮)第二章』 東来杜著

掌編:対話4

「頭の悪いことを言いたい。私は頭が良すぎると思うのよ」「お、その言葉でもう十分じゃないかな」「なんだ、それ。なんだと、それ」「頭の悪さは保証できたよ。さすが、頭良いね」「頭良いと言われるのは嬉しいけれど、同時に頭が悪いと言われるのはムカつ…

掌編:ストラテンポ7号、二時三十分

完成の期限が迫っていることに焦りを覚えて、僕は何を思ったのか、おもむろにストラテンポ7号を作り上げ、そして、バイウンの天井へとスリヤツクラの穂先を捧げることにしたのだ。ストラテンポ7号の勢いや良し、バイウンの天井に届きかけたが、しかし、上手…

掌編:普通

蚊に刺されてないけど、なんか痒い気がするのは、なぜだ。そういえば、小さい頃は夜中に蚊に刺されたのだろう、夜中に蚊に刺されたのだろうと、ぷっくり膨れた僕の肌を見ながら呟く両親を見て、僕はひそかに「夜中、僕の肌だけチクっと刺していく蟹」を想像…

掌編:砂遊び

雑草の味を噛んでみるのは、一つの実験だった時期もあったと思う。一つの草は酸っぱくて、一つは苦いのだ。そういう時期があったと思う。今にしてみると、どれも無味な上に、なんだか食べられたものではないのだけれども。あの日、僕らはなにかを発見したか…

掌編:月の真似をして

月の真似をして、水面に映るつもりだった。 月の真似をして、輝くつもりだった。 月の真似をして、夜中にいるつもりだった。 月の真似をして、寡黙でいた。 月の真似をして、ただ存在していた。 月の真似をして、白くあるつもりだった。 月の真似をして、カ…

掌編:眠気

ふああああああ……ああ……うううううううん……ああ……うーん……うーぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん……よしっ……よしっ……やろう、やんないとな、やらないとマズイんだよな、うん……頑張って……頑張って……くわああああああああああ……ふぅ……うーん……はぁ……アメないかな……アメ……

掌編:天使の性別

たまに、心の中で少女が疼く。僕は男だというのに、そして、性同一性障害のようなものを持っているわけでもないのに、なぜか、ふと、少女が芽生える。街を歩いていると、女性を目で追う時がある。性的な対象として見たためではない。憧れを持って見たためだ…

掌編:対話3

「最近、ココアにハマってるんだよね」「なにこれ、苦いんだけど」「それは純ココアだから仕方ないよ。砂糖を混ぜてゆっくり練って、自分好みの味に仕上げて牛乳で解いて飲むものだからね。自分好みにできるあたりが、僕のお気に入りなんだよね。とても美味…

掌編:運ばれる人

冷たい……ソーダ水なのだから当たり前だ……氷……入っているので、なおのことだ……手が痛い……触れすぎていればそうなる……頭痛……ちょっと急いで飲み過ぎたからだ……爪が……ちょっとだけ紫めいている気がする……そんなに触っているから、氷がだいぶ溶けている……薄い………

掌編:わぁ

あまりにも実体がなさすぎるとはどうしたものか。それでいて、大した意味も存在していない(――実体のなさと相関しない形で、物事の重要性が担保されていることも十分ありえるわけで)のだから、実にどうでもいい話をしていると言えた。そのため、こちらが飽…

掌編:対話2

「背景はいると思う?」「いると思うって、私の目の前に絵なんて特にないのだけど。映画もないし」「でも、背景があるものはあるでしょ」「絵でも、写真でもなくて?」「うん」「それで、背景があるもの――あぁ、そういうこと」「そういうことなんだけど、で…

掌編:対話

「どうかな…それ、美味しいかな」「それって、ビーフシチュー? それとも、このサラダの方?」「サラダの方かな。ドレッシングの味を変えてみたのだけれど、分かるかなと思って……でも、あぁ、自分で食べてみて気がついたけれども、あんまり印象が変わらない…

掌編:身の回り

黄色い目薬をさす。赤い蜘蛛の背中に染み入って、蜘蛛はだんだんと身を細くした。徹夜明けの体に、朝は辛い。体のバランスがだいぶ狂っていた。椅子に座っていただけだというのに――いや、座っていただけだからこそ、節々がこわばってしまっていた。ほぐれる…

掌編:街

昼間は何も起こらない。確信を持って言えるが、ここは、昼間、なにも起こらない街だ。人が大勢居て、行き交っている一番の時間が昼間だが、同時に、昼間は滅多にはなにも起こらない。各丁目の住人たちは寝静まり、ビルの隷属は目を痛めている。被服の者達は…

掌編:青い瞳

もはや珍しくもなくなった。何気なく朝に感じる事が多いが、それでもどうでもいい。瞳がこちらを覗いていることは、いつでも気がついていたし、そして、それが大した発見になっているわけでもなかった。青い虹彩を最初は珍しいと感じてはいた。僕たちは黒い…

掌編:誰かの掌

節くれだった指が、そっと伸びていって一つの実を摘む。口に入れた途端に、存在は消えて、やがて、雲の隙間から降りてくるものを胸に留める。

掌編:サーカス

今年のサーカスの一団は奇妙だ。ピエロがまずいないのだから、そして、ライオンがいないのだ。次にバレリーナもいない。体操選手、いるわけもない。団長がそもそもいない。酢を好んで飲んでもいない。空中ブランコの曲芸師たちも、見当たらない。そして、な…

掌編:きっと

「僕はまたきっと、周りの目を気にしながら『自分の意志でやりました』と、そう言い放って、周りを喜ばせるのさ。くだらない」 「実際は周りが怖いだけなのに」

掌編:ファーベラルティン

人はみな、ファーベラルティンのせいだという。ファーベラルティンとは、誰かが事故で生成した、概念であり、それは絶え間なく、陽青色をしながらも、時折には黒天色と化していると言われる。概念的かつ、物質的で科学者の興味も突きず、哲学者の心も満たし…

掌編:気球

烈火を乗せた気球が飛んでいる。撃ち落としたくて、仕方ない烏たちは、必死に啄いて気球の膨らみを割ろうとするが、しかし気球の皮は思ったよりも厚く、まず破れない。パチンコを飛ばす子ども、戦闘機の機銃、対戦車ライフル、雷、様々を持って気球を撃つが…

掌編:同じ場所へ

抱きすくめられて、声を上げた赤ん坊は、やがて夕日の背中に乗って旅立っていった/きっと、明日の午後には雨降りの中で、サーカスの傘を差した無邪気さに支えられて、一人で無事に目を閉じるだろう/浅い眠りの中で、曇天を見上げて、忘れてしまったはずの…

掌編:いんこは鳴かない

捉えられない街の中を歩いていた。この文章はそこで記されていたものを、私がそっとメモをし、それから、しばらくして、外にだすべきか否かを迷い続け、そうして、今ココに記すことにした文章である。この文章は街の空に、貼り付いていた。そして、夢を見る…

掌編:アトランティック・マム

名 称 アトランティック・マム 原材料名 鶏肉、蟹、夢見灰色のなに かに相当するもの、水あめ、 アトランティズム、水酸糖れ ん乳、食用マヒマヒ、香料、 カラメル色素、乳化剤 内 容 量 50g(個別紙込み) 賞味期限 欄外三親等先に記入 保存方法 染毛態外気…

掌編:彼女と僕の終着

六十九階でも構わない。僕らの先は、既にそこに決まっているなら、もう進むしかないだろう、と、彼女は冷淡に言った。「痒いのだ」という、羨ましくも、妬ましくも、うっとおしくもあってだから痒いと、よく爪を立てて、肌を撫でていた。慰め合いも、励まし…

掌編:離れている

私の手は、現在、雲の上にある。対して、私の足は椅子の下にある。心は遠い海の向こうにある。頭脳は地中深くに眠っている。耳はビルの屋上にある。目は全てを見渡している。 手はやがて落ちて、誰かの頭を撫でていた。気味悪がられて、乱雑に道路へと投げ捨…

掌編:虹を食べる

虹を食べる。病みつきにさせる泥のマスクを被って舞踏会の壁に、足を付けてみる快感に等しい行為によって、(――舞踏会の壁は嘘だ。本当は鉄骨の芯に含まれる鉄の、吸い付きやすそうな心の中に、それは存在すると考えられている。存在するというのは、つまり…